生活歯髄療法

 

☆ 生活歯髄療法

生活歯髄療法とは、虫歯の大きさに関わらず「神経をできるだけ残す治療」です。

どのような場合に行う治療かというと以下のような状態の歯があげられます

 

①    虫歯が大きい歯(神経まで達するような虫歯のある歯

 

②    外傷の歯(ぶつけて歯が欠けたなど)

 

③    根未完成歯の虫歯

(小学校~中学生の生えて間もない、根っこが完成していない永久歯)

 

虫歯等であれば、お痛みの程度(歯の神経の炎症の度合い)によって神経が残せるかどうかが左右されるため全ての歯の神経を残すことができるわけではありません。

また、治療をしてもお痛みが出てしまい、神経を取る治療が必要になる場合もございます。

 

※     お痛みの度合いとは  (あくまでも目安なので注意してください!)

:痛みがない虫歯→神経は健康な状態

:冷たいものや暖かい物がしみる→神経の一部に炎症があるが治る範囲内

:刺激でズキズキした痛みが続く、何もしなくても痛い

→神経を残せないほど炎症がひどくなっているため根管治療が必要

 

しかし、根管治療(神経を取る治療)は根の形態が複雑なため難しく、再治療の可能性も高くなり、その歯の寿命をどうしても短くしてしまいます。

当院では安易に神経を取らず、可能な限り神経を残す治療を推奨しています。

 

☆ 生活歯髄療法の方法と流れ

 

1 間接覆髄法 :虫歯が大きく限りなく神経まで近く進んでいるが、神経のある空間までは達していない場合(露髄しない場合)

①   麻酔

②   ラバーダム防湿

③   虫歯の除去

④   プラスチックまたは他の神経保護作用のある薬剤で仮封

⑤   後日、痛みの状態を確認し、プラスチックや銀歯、セラミックなどで歯の再建を行う

 

 

2 直接覆髄法 :虫歯が大きく、除去した際に神経まで達してしまったもの。事前にそれが予測される歯。外傷などで神経まで露出している場合(露髄した場合)

①   麻酔

②   ラバーダム防湿

③   虫歯の除去

④   MTAによる露出した神経の保護

(虫歯の状態によっては感染した神経の一部を除去します)

⑤   後日、薬剤の硬化確認とお痛みの経過をみて、銀歯やセラミックにて歯の再建を行う

 

 

☆ 根未完成歯の治療

 

6歳から13歳くらいにかけて生えてくる大人の歯はまだ根っこが未熟で、生えてから2~3年かけて伸びてきて完成に至ります。この時期に根の神経まで及ぶ虫歯や外傷などがあった場合、根が未完成なため根の治療(根管治療)が難しくなります。また、根の成長が止まってしまうと、根の長さが短かったり、薄かったりと歯を支えるには弱い状態のままになってしまうことがあります。

最新の治療では状態にもよりますが可能な限り、根の成長を促す治療が推奨されています。

 

① リバスキュラリゼーション(pulp revascularization)

:神経が失活(神経が死んでしまっている)場合でも未完成の根の成長を促すことを目的とする治療法(再生療法と言われている)。まだ治療法としては新しく、確立はしていないが根未完成歯の再生療法として注目されている。(従来の方法では根の成長はそこで止まってしまうため→アペキシフィケーション)

 

② アペキソゲネーシス

:根が未完成であり、なおかつ根の先の神経の状態が健康である場合の虫歯や外傷が対象。

方法としては直接覆髄法とほぼ同様で断髄(神経の一部除去)を行い、根管の深いところまで神経を取らないことで未完成の根の成長を促す治療法。

 

③ アペキシフィケーション

:根が未完成で、神経が死んでしまった場合の従来の治療法。根管の閉鎖(神経の部屋の封鎖)を促す治療法。根の成長は促されず、同様の歯への治療としてリバスキュラリゼーションが期待されている。